#くらす

すぐそばにある豊かな遊び場、
豊かな食べ物

関野里奈さん

2022.01.29

#くらす #移住者 #Eエリア_上宮津

Eエリア_上宮津

結婚を機に、ご主人の実家がある上宮津地区に引っ越しをされた関野さん。休日には家族みんなで山や海に出かけ、山菜や魚介類を手に入れる。自然豊かな上宮津地区での暮らしを満喫しています。遊び場はすぐそこ、おいしい食べ物も手に入る、ここでの暮らしと子育てへの思いについてお話を伺いました。

フィットした環境。宝に囲まれた生活

——―この地域での暮らしはどうですか?

すごく気に入っています! 私が住んでいるところは、山に囲まれているけど海も近くてすぐ行けますし、市街地からもほどよく離れていて、子どもたちが遊ぶのにもちょうどいい。高速道路へのアクセスもよいので、めちゃくちゃ便利な場所だなと。私は生き物が好きなので、そこらじゅうでカラフルな鳥が飛んでいたりしてそれだけでテンションがあがります。

————嫁がれる前の生活とギャップはありませんでしたか?

私が住んでいた大阪府の大東市もけっこう田舎で、あまり気になりませんでした。引っ越しする時も「京都やったら近いし、実家にもすぐ帰れそう!」って。実際は思っていたよりもずいぶんと遠かったんですけどね。
当時は免許も持っていなくて、しばらくは「免許いらんかなぁ」とか思いながら毎日自転車でスーパーに通っていました。宮津は車社会なのに、嫁いできたばかりの人が梅雨でも夏でも自転車に買い物袋を下げて走っている。主人は色んな方から「早く車買ってあげ!」って言われていたみたいです(笑)。

————そうは言ってもやはり不便だったのでは(笑)

不便だったんですかね?これが普通だと思っていたので、何も気にせず暮らしていました。
でも、12月に雪が積もっているのを目の当たりにして初めて「これは免許いるな…」って。みんなが車ないと無理やで、と言っていた意味を理解できました。車はあった方がいいのは間違い無いですね。

————休日はどのように過ごされていますか?

主人はアウトドアな趣味が多く、大江山に入ってマウンテンバイクに乗ったり、春には家族で山登り、近所の川で鮎釣りをしたりと毎週どこかで遊んでいます。身近なところに遊ぶ場所が無限にあるところだなと思っていて、すごく恵まれたところに住んでいるなと。
私はアクティビティよりも食べ物を手に入れることの方に関心があって、みんなで釣りに行っても、家族は釣ることにハマって楽しんでいるけど、私は旬の魚を手に入れるという楽しみかたをしています(笑)

大江山スキー場から航空管制塔までの山道。何度行っても飽きることのない最高の遊び場。(関野さん提供写真)

徐々に広がる、宮津の食べ物の味わい方

————お料理は元から?

いえ、全部宮津に来てから覚えました。自分は魚が好きなのですが、釣ったり貰ったりしたときに自分で捌けないと食べられない。こんなにおいしいものを上手に料理できないのはすごくもったいないなと思いまして。いざやってみると、何を食べてもおいしい。料理できるようになって本当によかったです。

————やっぱり獲れたてのものは違いますか。

全然違いますね。スーパーで並んでいるものと比べると、獲れたての魚の方が断然おいしい。自分で釣らないときは、漁港にいけば漁師さんが獲ってきたものを買うこともできます。

————普通の人も漁港で買えるんですか?

えぇ、浜売りといって定置網で獲ってきた魚を地元の人たちにも売ってくれるんです。昔連れて行ってもらったときに、こんなに安いんだって感動して、そこからよく通うようになりました。変わった魚も見られるし、息子たちも付いてきて楽しんでいます。

————当たり前にあるもののレベルが高い。

そうかもしれません。最近、地域の人にこんにゃく作りを教わりました。昔ながらのやり方で、灰汁取りに使う灰も大豆の殻を燃やしたものを譲ってもらいます。手間はかかるけど、この作り方が一番おいしい。
こんにゃく芋も種芋を分けてもらって5年ほど前から数人で集まって栽培していました。コロナ禍で集まるのが難しくなり、去年からは自分の畑に植え育てています。去年より大きく育ってくれるといいなぁ。

関野さん手作りのこんにゃく。お刺身にして醤油とわさびで食べるのがおすすめ。

実はどこにでもある地域のしごと

————地域の方たちとはどうやってお知り合いに?

上宮津は行事が多い地域で、今はコロナ禍で少ないですが、それ以前は毎月と言っていいほど何かイベントがあります。その中でもお祭り、駅伝、運動会といった大きなものには必ず参加しています。

祭りでは地区ごとに役割が変わる。関野さんの地区は太刀振りを担当。

————村仕事が多いと大変だという人もいますよね。

うーん、私はそこまで大変だと思ったことはなくって。というのも、大阪にいたときも地域の行事がたくさんあったんです。運動会なんかも大人数でした。ここは子ども会もないので、むしろちょっと楽になっているかもしれません。自然が多い分、畑や田んぼの草刈りを頻繁にしないといけないことの方が大変です。

————子ども会がないとのことですが、子育て世帯の方は少ない?

最近増えてきています。でも多くはないので、今のところお祭りはうちの地区だと太刀振りに参加できる年齢の子どもは息子達だけです。だからすごく大事にしてもらっていて、子ども達もお祭りをとても楽しみにしています。上宮津地区は、地域全体でもっと人を呼び込もうと頑張っていて、毎年移住者がやってきています。若い人たちも移住してきているので、そのうち子どもももっと増えるんじゃないでしょうか。

他と違うことでわかること

————お子さんはどうやって通学しているのですか?

スクールバスで宮津小学校に通っています。市街地の人からはスクールバスって大変じゃない? って言われたりするんですけど、毎日決まった時間に家の近くまで送ってくれるし、バスが出る時間までは学校で預かってくれるので安心だし、親にとってはありがたいことが多いかもしれません。働きに出ていても、習い事の送迎や家事をする時間も計算しやすいので助かっています。

————今はどんな習い事を?

レスリングや三味線、琴などですね。レスリングは、宮津らしいことってなんだろうって考えている時に宮津でこんなことやっているんだなって。小さいときからレスリングができるというのは他の場所でもあまり聞いたことがなかったので、すごくいいなと思いました。上の子が4歳の時にはじめて、本人も気に入ったのか今年で7年目になります。

————珍しいことをされてますね!

家族全員が天の邪鬼っぽいとこがろあって、あまり人と一緒のことをやりたがらないというか。三味線も講座の募集のチラシを見たときに本人がやりたいと言い出しました。習っているうちに弟の方もやりたいと言いだして、先生もこれがチャンス! と太鼓に唄にと習うことが増えていきました。流れで私も三味線を習うことになり、秋の宮津市民文化祭では、親子3人で舞台に立って演奏しましたよ。

数字やカタカナで書かれている琴の譜面を見ながら演奏してくれました。

この場所を好きになってほしい。そのために今の暮らしを目いっぱい楽しむ

————宮津らしさへの強いこだわりを感じます。

実は、こんな風に自分の生活に向き合えるようになったのはここ数年のことなんです。せっかく大阪から宮津に来たんだからって様々な活動にも参加しました。この地域でどんな暮らしが営まれていて、どんな文化があるのか興味もありましたし伝統を絶やしたくないという思いに共感した面もあります。上宮津地区以外にも顔を出していました。自分が好きでやっていたんですけど、どこか無理をしていたのかもしれません。
コロナ禍で活動が少なくなり、ゆっくりと家族と過ごす時間が増えました。今までの生活スタイルががらっと変わったので「あれ、私ってもっとゆっくり子どもと過ごしたかったんじゃなかったっけ」って気がつくことができました。
そこからは吹っ切れて、上宮津での生活を思いっきり満喫しています。丹後を飛び出して色んなところに遊びに出かけていましたが、足下に最高の遊び場が広がっていたんだなと。

地域の方にキノコの育て方を習い、菌打ちもされたそう。遠くへ出かけなくても、ここで学びながら楽しめる事がたくさんあります。

————住んでいるところでたくさん遊べるというのはお子さんにとっても嬉しいでしょうね。ずっと住んでいたいと思ってしまいそう。

そう思ってくれると親としては嬉しいですよね。宮津市は少子高齢化社会だから働く場所が少ない、だから都会へ行かせたいという方も多かったと聞きました。でも、私はあまり自分の子どもが“ここに住むのは無理だから”といった消去法のような形で、生きる場所を選んでほしくないと思っています。

————ここに住みたい、と思ってほしいと。

そうです。都会のこともわかったけど、やっぱり上宮津が好きだからという気持ちで帰ってきてほしい。なので、今やっていることっていうのはこの場所を好きになってもらうための作業ってことになるんでしょうね。仕事は……何とかなるんじゃないかと思います。ちょっと楽観的ですけど。
この地域に住んで、ここの暮らしを楽しむ。そういう人たちが増えていって、ここでの暮らしを知ってくれた人が「上宮津に住んでみたいな」って思ってくれると回り回って地域のためにもなるのかなって思います。

text : Yoshihiro Senda
photo : Yuki Nakai

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