#はたらく

1分でも、1秒でも早く
お客さまに電気をお届けするために

福元愛斗(ふくもと まなと)さん

2025.08.06

#はたらく #Dエリア_吉津_宮津

Dエリア_吉津_宮津

私たちの生活は、さまざまな人の働きによって成り立っています。例えば、電気の供給もその一つ。電気が届かなければ、灯りが灯らないばかりか、スマートフォンや家電を使ったり、信号機によって交通をコントロールしたりすることもできません。
今回は、そんな“電気の安心”を司る関西電力送配電株式会社京都本部宮津技術サービスセンターの福元愛斗さんに、会社の取り組みや社員の方々の思いを伺いました。

暮らしを陰で支える電気の守り人

――まず、関西電力送配電株式会社(以下、関西電力送配電)の事業内容を教えてください。

私たちは、発電所で作られた電気をお客さまのもとへお届けする送配電事業を行っています。具体的には、電力系統の運用や、電柱などの設備の維持・工事を手がけています。
電気を野菜に例えるなら、農家さんが作った野菜を八百屋さんへ届ける「運送屋さん」をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
また他にも、電気を円滑に送れるよう電柱の配置設計も行なっています。

インタビューの時の朗らかな笑顔から打って変わって真剣な表情で作業する福元さん(右)

――電気が私たちのところへ無事に届くよう、その経路を守ってくれているんですね。福元さんご自身は、どんなお仕事をされているんですか?

普段は、管轄エリアである宮津市、京丹後市、与謝野町、伊根町の電柱や電線を点検し、不具合があれば部品を取り替え、事前に停電を防ぐよう努めています。
一口に「停電」と言ってもさまざまな原因があり、雷や雪など自然現象で起こる場合もありますし、繁殖期を迎えたカラスが電柱に巣を作り、それが原因で電気が停まることもあります。他にも樹木が倒れたり、ツタが電線にからまったりして停電になることも。定期的に管轄エリアを点検し、停電に至る原因を事前に見つけて改修しています。

――もし停電が起こった場合、どのように対応されるんですか?

当社では、平日昼間の勤務に加え、当番制で当直があり、24 時間対応できる体制を整えています。停電があればすぐさま管理システムがエリアを特定し、それを受けて、現場の指揮をとる作業長を中心に5~6名のチームで対応方針を決定します。
現場に到着したら、まず行うのは停電原因の特定です。停電している電線に試験装置を接続し、異常箇所を取り除いてから送電します。復旧作業は夜間・休日を問わず行っており、土砂崩れなどで設備被害が甚大な場合は、夜通し作業することもあります。
他社の場合、こういった現場作業を外注しているケースが多いのですが、関西電力送配電では、直営の作業員が自ら電柱に昇って改修工事を行います。この直営の現場対応力の高さも、当社の強みの一つ。私自身、入社当初は電柱に昇るなんて想像もつきませんでしたが、10 ヶ月間に亘る徹底した研修、さらに配属後の半年間の実地訓練を通じて、専門的な知識とスキルを身につけました。

安全確認をしながらすごい速さで電柱に昇っていかれました

父の背中に見た将来の夢

――この仕事を志したきっかけは何ですか?

私がこの仕事を目指したのは、父の影響です。父は信号機の設置に携わる仕事をしており、幼い頃から働く姿を見て育ちました。また、親戚にも電気関係の仕事に就いている人が多く、地域の人たちから「ありがとう」と感謝される様子を目にするうち、自然と「人の役に立つ仕事がしたい」と考えるようになりました。
特に、私が生まれ育った鹿児島県は台風の影響を受けやすく、子どもの頃から暴風による停電を何度も経験してきました。電気が停まり真っ暗なだけでも不便なのに、冬の夜は暖房も使えなくなり、寒がりの私にはとても辛い経験でした。電気がついた瞬間の、あのホッとした感覚は今でもよく覚えています。

――たしかに停電するとあたり一面が真っ暗になり、とても不安になります。いつ復旧するかも分からない中、暗闇でじっと我慢しながら待つのは辛いですね。

やはり電気は、暮らしの上で必要不可欠なものです。この仕事に就き、停電復旧に携わるようになってからは、待ってくださるお客さまのことを思い「1 分、1 秒でも早く電気をお届けする」という気持ちで作業に臨んでいます。と言っても、単に早さだけを求めている訳ではありません。私たちが扱うのは、この先何十年も電気を送電する重要な設備です。いくら修繕が早くても、作業の質が悪く再び停電を起こすようでは意味がありません。将来に亘って安定的に電気を供給できるよう、「確かな品質」にも責任を持って取りんでいます。
これは、私に限らず社員全員が持っている思いで、迅速かつ品質の高い作業を行えるよう、普段から実践的な訓練を重ね、常に備えを怠らないようにしています。

迅速にかつ安全に現場に向かうために、整理整頓や使用する機材の点検に余念がありません

丹後の大自然は時に厳しく、時に美しく

――皆さん、そんな気持ちで復旧にあたってくださっているんですね。利用する側としては、とても安心です。

私たち宮津技術サービスセンターが担当する丹後エリアは、日本海に面した非常に雪の多い地域です。雪の重みで倒れた木が電線を損傷し、停電を引き起こすことも少なくありません。そうなるとお客さまは電気を使えず不便なだけでなく、寒い時期に暖房器具まで使えなくなってしまいます。一刻も早く復旧できるよう、常に最善を尽くして作業に臨んでいます。

――丹後という土地の風土が、停電や復旧作業に影響することもあるんですか?

はい、今はスノーモービルが導入されていますが、以前は雪が何日も降り続くと積雪で車が山道を通れなくなり、停電地点へ辿りつくのも一苦労でした。今でも降雪が多いと、せっかく復旧作業してもすぐに倒木で停電してしまい、同じ場所で何度も復旧作業を繰り返すことがあります。
また、丹後エリアは雪だけでなく風も非常に強く、飛来物等によって電線が切れてしまうこともありますし、海沿いの地域では潮風による塩分で設備の劣化が早く進み、電柱上の金物類が錆びて停電することもあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、日頃から丹念な設備点検が欠かせません。

――極寒の中での終わりの見えない作業。想像を絶する過酷な状況ですね。私たちのもとへ届く電気が、こんなにも多くの苦労に支えられているとは知りませんでした。

ただ、良い面もあって、電柱の上から見る日本海の風景は最高です! 場所によっては展望台よりはるかに高いところから見下ろし、視界一面に広がる絶景を味わうことができます。入社して以来、大阪をはじめ複数のエリアで勤務してきましたが、これは宮津技術サービスセンターの特権です。

――丹後地方ならではの厳しさと喜びがあるということですか?

はい、入社当初は「都会で暮らしたい」という憧れが強く、赴任先が決まった時は正直「宮津ってどんなところだろう?」と戸惑いましたが、実際に働くと自然の厳しさを感じる反面、美しさを感じることが多々あります。それに魚も新鮮でおいしいし、釣りやキャンプも楽しめる。年々地元の方との交流も増え、今では「こんな良いところだったんだ!」と感じる毎日です。

丹後で一番好きな景色は京丹後の海沿い

ライフラインを支える矜持を胸に

――ここまで福元さんのお話を伺い、電気が使えることって決して当たり前ではないことに気づきました。

私自身、子どもの頃から「人の役に立つ仕事がしたい」と思っていたので、電気を通して皆さんの生活を支えられることに大きな喜びを感じています。特に、お客さまから「ありがとう」と言っていただけたときは、ライフラインを守り地域社会に貢献できることを誇らしく思います。

――では最後に今後の展望を教えてください。

1.点目は、現場の責任者である作業長になることです。状況を的確に判断し、チームの先頭に立って復旧作業を指示する重要な役割であり、高いスキルに加え、メンバー一人ひとりの経験値や理解度に応じて何をどう伝えるか、コミュニケーション力も求められます。まずは身近な先輩を手本に、1 分、1 秒でも早くお客さまへ電気をお届けできるよう、現場をリードしていきたいです。
2.点目は、停電を発生させない環境作りです。定期点検では電柱 1 本 1 本を丹念に確認し、不具合の兆候を見つけたら早期に対処しています。また改修の際には、ナット一つ締めるにも細心の注意を払い、自分の作業に集中するようにしています。病院のような施設では、電気がないと深刻な事態に陥ることもありますから、多くの方の生活、命を預かっているという責任感を持って、今後も仕事に向き合っていきたいです。

【停電情報アプリ】
https://www.kansai-td.co.jp/others/teiden-appli
関西電力送配電では、「停電情報アプリ」を通じて停電情報を発信しています。関西エリア全域の停電数を一目で確認できるほか、登録した地域の情報をプッシュ通知で受け取ることも可能です。復旧作業の進捗や見込み時間も表示されるため、別の地域からでも現地の様子を把握することができます。停電中は通信が不安定になることが多いため、離れて暮らす家族や友人の地域をあらかじめ登録しておけば、いざという時にもすぐに状況を確認できます。
   

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